上原金次郎
この家は、1967年に上原金次郎が建てたました。
金次郎は、この島で生を受け、代用教員(昭和初期の制度)から教員、校長、町の教育長と務め、その退職金で建てました。
当時の予算は、2万ドル。柱や鴨居に台湾檜(タイヒ)を用いた当時としては、贅沢なつくりでした。
廃墟状態(改修前)
修復前の別荘内部。
ところが、金次郎没後、この家は、約40年間空き家となり廃墟状態に。
そこで、孫にあたる現オーナーが、改装に着手、2024年9月に雑木林のようになっていた庭の改修が始まりました。
約1年間をかけて整備したのが、現在の庭です。
伊東さんの写真
この家の改修は、福島出身の棟梁・伊東治好と施主とのコラボです。
2025年1月、奇跡的に残ったタイヒと欄間をそのまま残す、
「昭和民家の現代的な改修」とテーマを決め工事に。
損傷した底板
柱の上部が残っている
できるだけ古材の再利用にこだわりました。
タイヒの柱の根っこはシロアリの食害で宙ぶらりんの状態でした。
この為、他の残っていたタイヒの柱をカットし、それを残りの柱に継ぎ足しています。
継ぎ部分は壁で覆われて見えませんが、実はその柱を覆っている壁も30年余り別の民家で使われていたチーク床材です。
金次郎家の床もチークの新材ですが、趣が違います。
リビングの窓
窓は、宮古島の古民家で実際に使われていたデザインを再現し、島内の木工所に特注で制作してもらいました。
中でも、玄関に使われているドアには、当時の薄い模様ガラスが使われ、透明ガラスを貼り合わせて強度を持たせています。
台所エリア
造り付けドア
浴室入口
金次郎家では、いわゆる造り付けにこだわりました。
特に台所とカウンターは、暴れが少ないタモの集成材で。
シンク周りもできるだけシンプルにしています。
ドアも全て造り付けです。水まわりの出入り口は、上部分にコンクリートで丸みを創り出しました。
洗濯乾燥機一体型
優雅なトイレ室
古民家の雰囲気は残しながら便利さも失いたくない。
移住の準備や自分の別荘のように使ってもらう「暮らす泊」をイメージしました。
室内シャワー
露天風呂
シャワーだけの内風呂と空や星を眺めながら入る外風呂があります。
外風呂の壁は、貴重な砂岩を贅沢に使っています。
サウナの中
ロウリュウが楽しめるサウナ風呂があります。
庭の装飾品
この庭園で使われている庭石のほとんどは、タモリさん主演のNHKの番組で紹介された「島尻断層」の砂岩です。
難しくいうと「鮮新世末期」400〜200万年前に形成されたようです。
同じ場所から出た石が宮古島市総合博物館でも「化石岩」として紹介されております。